トラスの最適設計


座屈荷重係数を制約条件として、トラス構造物を最適化する。 ここでは、次のような塔状平面トラスを考える。

塔状平面トラス
塔状平面トラス

Λをパラメータとして比例載荷する。 トラスが座屈するときのΛの値は座屈荷重係数と呼ばれる。 いま、正の座屈荷重係数がある最小制限値以上である、という制約を設ける。 断面積を設計変数として、構造物の総部材体積を最小になるような断面積を求め る。この問題の解は次のようになる。

塔状トラスの最適解
最適解

本最適化問題は、断面積の関数として定められる実対称行列が半正定値であると いう制約の下で、総部材体積を最小化する問題に帰着できる。 さらにこの問題をSDPとして逐次近似し、繰り返しSDPを解くことで最適解 を簡単に求めることができる。

得られた最適解の座屈モードと、指定荷重による変形状態を示す。

座屈モード 変形状態
最適解

この問題では、座屈荷重係数は重複しない。

得られた最適解の非線形座屈荷重係数は、指定値にほぼ等しい。 従って、このような塔状トラスの場合には座屈前変形の影響は小さく、線形座屈 荷重の定式化で実用的には十分であることが分かる。



関連論文
  1. 寒野 善博, 大崎 純, 藤澤 克樹, 加藤直樹 :
    半正定値計画法を用いた指定座屈荷重係数を有するトラスの トポロジー最適化,
    日本建築学会構造系論文集, No.541, pp.113-119, 2001.

  2. AISRR

(2001.8.10)

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